ベトナム料理によく使われているヌクマムってなに?
魚醤ってことはなんとなく知っているんだけど〜。
こんな疑問を抱えていませんか?
こんにちは。
奥さんはベトナム人
ベトナム料理人のキー山本です!
この記事ではベトナム料理に欠かせない魚醤。
ヌクマムとは?について解説しています。
我が家ではほぼ毎日ヌクマムを使って料理をしていて、もはや日本の醤油よりも使用頻度が多いくらい。
そんな僕がヌクマムについて詳しくお話したいと思います。
それではどうぞ!
1: ベトナム料理の魚醤ヌクマムとは?
ヌクマムはベトナムで作られる魚醤を指します。
魚醤は世界各国で作られていますが、そのベトナム版の名前がヌクマムです。
ニョクマムとかニョックマムとかカタカナにするといろんな表記がありますが、ここではヌクマムに統一しました。
まずはヌクマムはベトナムで作られる魚醤って覚えればOK。
魚醤とは何か?
で、魚醤ってなんなの?と言いますと、
魚と塩を主原料にした液体調味料です。
漢字が表す通り、魚から作られます。
日本にも魚醤は存在していて、秋田県のしょっつるや
石川県のいしるなどが有名ですよね。
なるほど。魚醤は魚から出来た
調味料なのね!
ベトナム語から見るヌクマム
ヌクマムはベトナム語では
Nước mắmと表記します。
それぞれに意味があり
Nướcは日本語で水を意味する言葉で
Mămは発酵を表します。
非常にわかりやすい表現ですよね。
他にもエビを発酵させた調味料のMắm tôm(マムトム)
(tôm=エビ)なんていうものもあります。
Nước mắm(ヌクマム)は水と発酵を表した言葉。
覚えやすい〜!
ヌクマムの作り方
次はヌクマムの作り方を見てみましょう。
主な原料となるのはカーコム(Cá cơm)と呼ばれる
カタクチイワシ類の魚と塩です。
これらを一緒にカメに漬け込み、
魚の内臓に含まれる酵素を利用して自然発酵させます。
次第に魚の骨や体は分解され、沈殿物となりカメの底に沈みます。
そしてカメの上には澄んだ色の液体が残ります。
この上澄の液体がヌクマム。
魚の旨味がたっぷり入った調味料の出来上がりです。1
原料が大豆の日本の醤油と作り方は似ていますね。
発酵した水。まぁなんとなくわかりますね笑
ニョクマムの特徴
ベトナムの魚醤ニョクマムの特徴は、なんといってもその旨味!
ニョクマムを一口舐めてみるとわかりますが、めちゃくちゃ旨味があります。
小魚を発酵させて作るニョクマムはアミノ酸を多く含んでいて深い味わいです。
原料に塩を含んでいるのでもちろん塩辛さもありますが、ツンとくる塩気ではなく、マイルドな印象。
そして発酵食品特有の香りがあるのも特徴です。
初めてニョクマムの匂いを嗅ぐ人は少し抵抗があるかもしれませんが、 2回、3回と食べているうちに気づけばニョクマムの虜に。。なんてことも。
僕もその1人です!
ニョクマムのランク
発酵した液体の上澄を最初に掬ったものを1番搾り
1番搾りをとったニョクマムに、度数の低いニョクマムを加えさらに発酵したものを2番搾り、
さらに同じ工程を繰り返し3番搾りと分かれていきます。
1番搾りが上物とされ澄んだ味わいです。このニョクマムはそのままの味を楽しむため、つけだれとして使い、ランクの低いものは料理に使われるそうですよ。2
塩分の含有量
塩を原料にするニョクマム。一体どれくらいの塩分が入っているのでしょうか?
こちらは我が家でよく使うニョクマム。食塩相当量は100gあたり 24.2gです。
他のブランドのものも見てみましたが大体 20~25gの間です。
日本の濃口醤油が 14.5g3なので、醤油より塩分が多めですね。
ベトナム料理に欠かせない理由
魚醤ニョクマムはベトナム料理には欠かせない存在ですがその理由を探っていきたいと思います。
ベトナムのことはベトナム人に聞くのが一番!と思い、奥さんのURIちゃんに聞いてみました。
ねぇねぇ、なんでベトナム料理にはニョクマムが欠かせないの?
日本人にとって醤油は欠かせないでしょ?それと一緒!昔から食べてるから。
とのこと。
昔貧しくておかずがない時はニョクマムをご飯にかけて食べてたんだよ。とも言っていました。
う〜ん、そういえばベトナムの映画『青いパパイヤの香り』でも、おかずがない時はニョクマムをたっぷりいれるんだよってシーンがあったね〜。
ベトナム人にとって日本の醤油のように脳に刻まれた味なんですね。
そして何より白いご飯との相性がいい!
本当にニョクマムと白飯だけでご飯が食べれるくらい相性がいいところも、お米大国のベトナムで料理にニョクマムが欠かせない理由の一つかもしれませんね。
ベトナム料理でのニョクマムの使い方
実際にどうやってベトナム料理にニョクマムを使っているのかを見てみましょう。
主な使い方は 3つ。
いずれも使い方は日本の醤油そっくりです。
一つ目は、つける。料理のつけだれとして使用します。
二つ目は、かける。完成した料理の味変などに使用します。
三つ目は、料理に使う。炒め物や煮物の味付けとして使います。
ニョクマムの使い方 つける
ニョクマムをつけだれとして使う方法です。
生春巻きや揚げ春巻き、スープの具材などなど、なんでもニョクマムにつけて食べます。
そのまま食べることもありますが、多くはニョクチャムというレモンや砂糖で味を整えたソースにして食べることが多いです。
ニョクマムの使い方 かける
これはそのまま。料理にかけて味を足す使い方です。
ベトナムの有名な麺料理『フォー』のお店に行くと卓上にニョクマムが置いてあります。
フォーの味が足りないなって時に、スープにニョクマムを入れて味を足します。
どこのフォーのお店にも置いてある必須の組み合わせですね。
ニョクマムの使い方 料理に使う
料理にももちろん使います。
炒め物や、フォーの味付け、チャーハンの隠し味や煮物にもニョクマムを使います。
濃厚な旨味と独特な香りが効いてとても美味しく仕上がりますよ〜。
ニョクマムを使用する際のポイント
さまざまな使い方ができるニョクマムですが、使う時にはコツがあります。
使い方のポイントを押さえると上手にニョクマムを使うことができますよ〜。
ポイントは2つ
・加熱で香りが飛びやすい。
・ブランドによって味が若干違う。
それぞれ詳しくみてみましょう。
加熱で香りが飛びやすい
まずはこれ。発酵食品特有の独特の匂いが特徴のニョクマムですが、その香りは加熱することで和らぎます。
もしニョクマムの匂いが苦手って人は一度炒め物や煮込み料理などに使ってみてください。
びっくりするくらい匂いが消えちゃいます。
反対にニョクマムの香りが欲しい時はあまり加熱しない。
僕はフォーに入れる時は、出来上がりの直前にニョクマムを入れて食べるのが好きです。
ブランドによって味が若干違う
これはニョクマムに限らず、調味料全般にいえることで、当たり前といえばそうなんですが、
各ブランドによって塩味や旨味が異なります。
この味の違いが結構でかいのでレシピ通りにつくっても、使うニョクマムによってなんか味が物足りない。。ってことも。
料理する時は味を見ながらすこしずつ調整してくださいね。
ニョククマムを使った料理の例
ここからは実際に料理に使用する例を紹介します。
レシピはこのブログでも紹介しているものなのでよかったら作ってみてくださいね。
こちらは鶏肉の生姜煮
ニョクマムと砂糖だけで作る簡単レシピですが、鶏の旨味も加わってとっても美味しいです。
レシピはこちらからどうぞ。
こちらは定番のフォー
フォーの味付けにもニョクマムを使いますよ〜。
ニョクマム購入の方法
ここまでニョクマムについて解説していきましたが、そろそろニョクマムの魅力を感じていただけたでしょうか??
欲しい!そう思ったあなた。
最初に書いたようになかなかスーパーでは売っていないんです。
では実際どこで入手するのか?
2つの方法を紹介します。
なんだかんだAmazon
そりゃそうでしょ。
アマゾン便利だもん。
アマゾンやネット通販で検索してポチってください。
アジア食材店
僕たちはいつもこの方法で買っています。
ネットで『ベトナム食材店』と検索してみてください。
もしくは『アジア食材店』
ベトナムの調味料や乾物を扱う輸入品ショップで買うことができますよ。
ベトナム人経営のお店は結構入りにくい雰囲気ですが、みなさん結構日本語喋れる方が多いのでぜひ行ってみてくださいね。
こちらは東京のお店ですが日本人の店員さんがいるお店。
ベトナム以外にも韓国や中国の調味料があってテンション上がります。
ニョクマムの市販品の選び方
ベトナムの食材店に行ったけどいろんな種類のニョクマムがあってどれを選べばいいかわかんない!
そんな時のために簡単に選び方を紹介します。
ニョクマムにはランクがあると最初に書きましたが、簡単な見分け方を紹介します。
ニョクマムの旨味成分のアミノ酸の濃度を知るには、含まれる窒素の含有量を目安にします。
『35°N』や『40đạm』などの表記がある場合はその数字が多いほど窒素含有量が多うという証拠
4。
つまり旨味がたっぷり
もし瓶やラベルにNやđạmの表記があれば参考にしてみてくださいね。
おすすめニョクマム
とはいえそんな表記がないものもたくさんあるので、ここでは僕たちのおすすめニョクマムを紹介します。
まずはこちら。在日ベトナム人に大人気のナムヌーのニョクマムです。
ニョクマムですが、原材料に砂糖やアミノ酸が入っているのでこれだけで既にうまい状態。
クセも少ないので初心者向けだと思います。つけだれに使うのがおすすめです。
もう一つはこちら。
ベトナムのフーコック産のニョクマムです。フーコック島はニョクマムの産地として有名な場所。
日本のベトナム料理屋さんによく置いてあるのを見かけますね。
こちらは塩と魚エキスのみなのでシンプルな味が特徴。
味がシンプルなのでいろんな料理に使えて僕はこっちの方が好きです。
他にもいろんなニョクマムが日本でも手に入るみたいなので、いろんなものを試してみてくださいね。
ヌクマムの他の調味料との組み合わせ
以外かもしれませんがニョクマムと、砂糖やハチミツ、メープルシロップといった甘味調味料は非常に相性が良いです。
実際ベトナム料理でもこの組み合わせがよくあります。
塩気と旨味のあるニョクマムと合わせることで、甘辛い味になるんですが、この味がなんともいえないおいしさ。
例えるなら、醤油と砂糖と味醂と酒を合わせたような和食っぽい日本人好みの味になります。
料理の際は甘味を入れてみてくださいね。
タイのナンプラーとの違い
ニョクマムとよく混同されるのがタイのナンプラー。
また、日本で入手しやすいのもナンプラーです。
原材料や製法など近いものですが、ナンプラーの方が若干塩味が強いように感じます。
尖った塩味という感じの印象。
同じ魚醤で原材料も近いようですが、ナンプラーの方が発酵に長い時間を取るようです。5
ですがほぼ似た味わいではあります。もしニョクマムが手に入らないという場合はナンプラーで代用してもOKです。
ナンプラーとの違いについてはこちらの記事でも紹介しています。
おわりに
最後までご覧いただきありがとうございました。
今回はベトナムの魚醤 ニョクマムについて解説しました。
これをきっかけにベトナム好きが広がってくれたら嬉しいです。
URIと台所。ではベトナム料理を広げるためにレシピやベトナムの食に関する情報を発信しています。
みなさんぜひベトナム料理を食べてみてくださいね。
それではまた次の記事で会いましょう!
さようなら!
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